どうして自分が管理職に?

理想の管理職、上司ってどんなイメージですか?

仕事が出来て、面倒見がよく、時に情熱的でアグレッシブ。叱咤激励のなかにも部下への信頼があり、ここぞという場面では身を呈して部下を守ろうとする熱い人物でしょうか。

責任感が強く、誰よりも率先して仕事に取り組み、部下を引っ張りながら皆で責務を果たそうとする活発な人物でしょうか。

寡黙ながら重厚感があり、仕事に関して妥協は一切なし。一見とっつきにくそうに見えて、普段は話好き、周囲には分け隔てなく礼儀正しく振る舞い、ときに冗談を言って場を和ませたりする寛容な人物でしょうか。

私はこれまで、様々な役割を経験する機会を頂きましたが、おそらく上記のようなイメージとは、私のそれは随分違っていたように思います。

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お金を稼ぐ、働くって大変だなと

グループ企業の主要子会社、その一支店。

私が初めて勤めた会社です。

大きく分けて「営業」と「カスタマーサポート」があり、私は「カスタマーサポート」に配属されました。

仕事内容は、電話・来客応対、伝票処理、商品管理、小口金管理、書類・資料作成、データ入力etc・・・いわゆる「庶務」というやつですね。

庶務とはいえ、初任給は35万円~と謎記載・・・特にその会社に惹かれた、というよりは「給料が良さそう」というのが選んだ理由です。

まあ、高給なのには理由がある。

何のことはなく、仕事量が半端ない。結果的に拘束時間が長い。

給料の半分以上が「残業代」なり。

当時はコンプライアンス?36協定?という感じでしたからね。それでも残業代が分刻みできちんと支払われるからこそでした。

カスタマーサポート、事務や庶務というと、割と女性が多いイメージがあるかもしれませんが、その会社のカスタマーサポートは8割男性2割女性社員という感じの体育会系です。

なんせ、営業課は「営業に関すること」、それ以外は全て我々の仕事でしたから、なぜか営業より残業する先輩方。

今でも覚えていますが、入社当時はあまりの辛さに悲鳴を上げたものです。

当時の自宅は会社の寮だったので徒歩20分ほどの距離でしたが、繁忙期は疲れ果てて会社で寝泊りしてました。

社会を知らない若輩者ですから、それが異常だろうがなんだろうが、慣れてくるとそれが当たり前になる不思議。人間の適応力ってすごいですね。

散々書きましたが、別に「いっぱい働いて凄いだろう」の自慢ではなく、普通に同期で入社した人の中にはサクッと仕事をこなして帰宅する人間もいました。

ちなみに、早稲田、慶応、明治などの有名な大学の方もいます。学歴を云々言いたくないですが、やっぱり彼らは優秀だった。顧客の要望を吸い上げ、それに沿った商品を案内し、営業に案件資料の作成を依頼されても、データ入力を頼まれても、まぁ早い早い。

営業と顧客をつなぐ橋渡し。まさに「カスタマーサポート」って感じでしたね。

しかし、私はずっと電話応対をしたり、ファイリングをしたり。

二年たっても、私の基本的な仕事内容は大きく変わりません。

朝出社して、電話応対や来客の応対をしながら机の上に山になってる書類を片付けながら、必要なデータ入力や資料整理など。

私なりに一生懸命やっていました。入社当時は悲鳴を上げてましたが、体が慣れてくると疲れもそれほど溜まらなくなりましたし、何よりそれがやるべきことだと思っていたからです。

この会社はおかしいって思わないか?

きっかけは、仲のよかった同期の退職でした。

私の同期は5人、既に4人辞めてましたので、残っているのは仲のよかった同期1人。その同期が退職すると言ってきたのです。

私は思いとどまるように説得しました。当然です。

私にとって彼はモチベーションを保つ一つの線だからです。

辛い時も、苦しい時も、励まし合ってやってきた戦友と言える存在を失いたくはない。振り返って考えると何とも身勝手ですが、当時は「なんでだよ!?」って感じでした。

茫然自失な私をみながら彼の言った言葉は今でもよく覚えています。

「この仕事を続けて意味があるのか?先があるのか?毎日毎日、俺はこんな生活がしたいわけじゃない」

続けて彼は言います。

「上はまったく俺たちの仕事をみていない、営業が最優先でサポートは二の次なのか?本来俺たちがやらなきゃならないこともまともに出来ていない、なのにそれを分かっていて、あれをやれこれをやれ、無理だと言えば何とかしろ、営業を止めるなとだけ返してくる。最近始まった時間管理もそうだ、営業より残業するな?早く帰れと言う前に現場をみてなんとかするのが上の仕事じゃないのか?」

彼の言葉を聞いて、私は急に冷静になりました。

この会社の異常な離職率。

社会ってこんなもんだろうくらいに思って何も考えていなかった私は気付いていませんでしたが、彼にとっては非常に大きな問題だったのです。

後に知った事ですが、彼は動いて、そして問題提起もしていました。

しかし上司の「分かった、何とかするから今は耐えてくれ」の一言でそれ以上彼は踏み込めなかったと。

彼は私に言い残しました。

「この会社はおかしいって、お前は思わないのか?」

自分が今出来ることは何か

入社して4年、仕事も覚え、会社の全体像を把握出来るようになった頃、当時の係長が体調不良で実家に帰省する事になり、新たに係長の選任をすることになりました。

私の勤めていた会社は、上に支店長、次いで次長、課長、係長、主任という役職構成になっています。2課制で下に係長が4人ずつ、さらに下に主任が各5人ずつ。係長以上が管理職と呼ばれました。

これは営業部の話で、私の所属しているカスタマーサポートは主任3名と係長1名、その上は形式的に次長です。

基本的に当時はトップダウンで、一般職と主任、主任と係長、それぞれ与えられる権限が違っていて、使えるシステムもそれに合わせて異なります。

よって一般職は主任以上の権限を要する仕事ができず、主任は係長以上の権限を要する仕事ができない。必然的に技量や知識量は係長>主任>一般となる。

だから私は当然、今回の代理選定は3人の主任から選ばれるものか、または支店ですから、他の営業店の係長を上申するものだとばかり思っていました。

ところが、次長から呼ばれ、話を聞いたとき、本当に驚いてしまいました。

私に支店の係長をやれと言うのです。

誰もが驚いていたと思います。思ってもみない人選でした。

技量・知識量では先輩社員に劣る。主任でもない私に、どうして代理を命じられたのか。後に次長に聞いて分かりました。

一部の同僚や後輩社員が、「彼を係長にしてほしい」と強く推薦したというのです。

思えば私は、彼の退職後から、この職場で出来ることは何かを常に考えていました。

力のない自分に出来ること、少しでも彼のような苦しみを抱えたまま仕事をする人を減らしたい。しかし自分に出来ることなんて体を動かす位しか思いつかない。

私がやったことは、同僚や後輩たちの仕事を手伝う事。周りの設備の調整や修理などをすること。先輩だから、後輩がやるようなことだからと特に意識することなく、そういったフォローや手伝いをすれば、少しでも仕事に集中出来るのでは思っていました。

自分の仕事を終えたらさっさと帰りたい、人の面倒は見切れないという職場の雰囲気の中で、主任でもないのに一生懸命に誰かの為にと取り組んでいた私の姿は、先輩たちもしっかり見ていてくれたのです。

管理職になろうと思ったわけではまったくなく、まわりの人から押し上げられて、私は管理職になったのでした。

当時の私は25歳、代理とはいえ係長。

仕事は覚えてきているといっても、主任以上の権限に関する仕事は触ったことのない私です。正直、何から手をつけていいのかさっぱりでした。正直不安しかありません。

周りとの接し方も手探り。どこかぎこちない、まるで新入社員気分です。

上司は「いきなり何をしろとは言わない、まず仕事を全て把握しろ、それまでは私が〇〇(前任の係長)の仕事をやってやる」と言ってはくれたものの、「人間関係は色々問題が出るかもしれない」と脅されていたので内心はビクビクしてました。

私も当然、一般職がいきなり自分たちを越えていくのが面白くないと思うのは当然だと思っていたからです。

当時のカスタマサポートは各部門を合わせると約50名。8割は自分より年上です。さらに支店なので、各営業店の係長とも会議をする。周りは全員30~50代、しかし仕切るのが支店の為、私が仕切る必要がある。

そんなこんな胃を痛めながらの日々でしたが、幸いだったのは、先輩社員や主任、まわりがサポートをしっかりしてくれたこと。

率先してみんなを支えてきた。そのご褒美は想像以上のものだったのでした。本当に嬉しかったです。

見てくれている人は必ずいる。頑張っていれば、まわりの人が自分を押し上げてくれる。そんな貴重な体験をした出来事でした。

マネジメントの形は人それぞれ

今現在、私のスタイルは、この経験が原点になっていると言えます。

子供の頃からカリスマ性を発揮して、常に周りに人を集めるような人もいます。ですが、私はそういった子供ではありませんでした。

カリスマ性、皆を引っ張っていくリーダー。そんな友達に憧れる、普通の子供でした。

社会に出ても、リーダーになろう、リーダーシップを発揮しようと意識したことはありません。自分に余裕がある限り、同僚のために今、何をするべきか、それを考えて行動していたら、自然とそういった役割をすることが増えていったのです。

いつの間にか命じられるままに、そして気がつけば組織のリーダーを任せられるまでになっていた。

実際に様々な人に出会い、この人は理想的なリーダー像を持っているな、マネジメントとはこうあるべきだ、そう思えるような凄い方に会う事も多々あります。しかしそれは先天的なものではけっしてなく、誰でもその素質はもっていると考えています。

才能だとか、カリスマ性だとか、そういったものはあくまで補助的なものです。

私がそうであるように、あなたにも「あなたの型」があるはずです。

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