管理職にはマネジメント能力が必要不可欠
マネジメントとは、自らが率いる部署・チーム・組織を、その与えられた資源・資産等を、効率的・効果的に運用して成果を上げる、また発展させる為の手法です。
管理職になれば、誰しもがこのマネジメントに触れることになります。とはいえ、マネジメントの分野は非常に多岐に渡り、”マネジメント”という言葉一つで理解しようとすると非常に難解で、項目をあげたらキリがありません。
という訳で、はじめて管理職になった時、まず何に注目してマネジメントすればよいのか?この記事ではそんなところを少し書いていきたいと思います。
管理職がマネジメントすべきことは何か?
業務マネジメント
活力のある部署に共通することは、社員が一つの目標を明確にしており、その目標達成に向けて仕事に取り組める環境がきちんと整備されているということです。
まず、自部署の業務を進めるにあたり、基本となるのはPDCAサイクル。
つまり、計画(Plan)⇒実行(Do)⇒照合(Check)⇒対策(Action)ですね。
- 目標設定(何をーどれだけーいつまでに)
- 目標実現の為のシナリオ=計画を立てる(目標の噛み砕き)
- 部署内の業務内容を分類する(例:電話応対、システム入力、受注業務など)
- 業務内容に照らし合わせて社員の習熟度合いを明らかにする
- 習熟度合いを考慮した上で業務毎に担当者を明確にする
- 計画に基づく日/週の進捗を確認する(報告・連絡・相談、計画と実際の差異を確認)
- 目標に対しての成果を評価する
目標設定には大中小がありますが、基本的な段取りは変わりません。
日常業務における効率化や改善といったような目標から、経営計画や月次目標といった中長期のものも含まれます。
いずれにせよ、生産性の高い部署を作る上では、先手先手で物事を企てていく事が大切ということです。能動的に目指すべき目標を掲げ、その実現の為の計画を立てることが、目標を達成する上では必要不可欠。
例えば、3ヶ月で600ページの冊子を作ると決めたとします。
これだけでは漠然としすぎて大変さ、面倒さが際立ってしまいますが、「毎日6ページずつ書こう」「君は2ページ、君は1ページ、君なら3ページ出来るはずだ」「それを3ヶ月続けよう」と落とし込むと、なんとなく出来るような気がしませんか?
一見すると難しい仕事内容も、実現イメージの明確な計画を作り、役割をハッキリさせる事で、取り組む部下のモチベーションは大きく異なります。
人材マネジメント
会社というのは人と仕事が中心になって働くものです。
したがって「仕事」をマネジメントする業務マネジメントと共に、「人」をマネジメントする人材マネジメントが中心のテーマとなります。
一口に人材マネジメントといっても、これでは非常に広い範囲をカバーしてしまいますので、とりあえず目下頻度の高いものを抜き出します。
- 部下の育成
- 適切な人事評価
- 能力やスキルを最大化出来る配置・異動
- モチベーション管理
完成された能力やスキルをもつ人を戦略に応じて適時確保出来る会社は存在しません。
個人の能力やスキルにバラツキがあるのは当たり前ですから、部下育成を考えた時に必要になるのが「開発すべき能力やスキルの明確化」「開発の仕組み作り」そして「開発の効果測定」ということになります。
つまり、ここでも「目標設定」⇒「計画作り」⇒「教育の実施」⇒「評価・査定」といった具合に、PDCAを行います。
流れ的には業務マネジメント同様と言えますが、ここで、本人のモチベーションが大きく影響します。人は感情や意思をもって行動するものですから、ただ目標を定め、ただ計画を推し進めるだけでは効果が薄いのです。
極端な話、上昇志向が高い部下であれば、積極的に物事に取組みながらその課程で必要な能力やスキルを学び、あるいは吸収しようとするでしょう。しかし、上昇志向の低い部下ならば、基本的には日常業務を淡々とこなす、または特別何か他の事には興味や必要性を感じない、感じたくないといった反応が強くなりますから、やみくもに指針を定めても、本人からすれば余計な仕事が増えただけにしか感じません。
部下のモチベーションは様々な内外要因によって変化しますから、一概に”コレ!”といった対応手段はありません。
したがって、そのポイントは「部下に関心を持つ」ということです。
- 日々のコミュニケーションを意識する
- 部下表情や言動、日々何気ない会話の中から変化を察知する
- 部下の行動に対して褒める叱るだけでなく「ねぎらい」を忘れないこと
- 「何をやるか」ではなく「なぜやるか」を明確に伝えること
- 部下への期待をきちんと態度に表すこと
- 「管理」は必要最小限、働きやすい環境整備を意識することetc・・・
リスクマネジメント
リスクマネジメントとは、結果や予測に対するブレを最小化し、目標達成を安定化させる管理手法です。これも非常に重要な仕事の一つですね。
- 業務上のミス、トラブル
- 不正、横領、着服
- 様々なハラスメント
- IT、セキュリティの問題
- 事故、災害etc・・・
万が一の事態に備え、そうした事態が起きた時にどう対処するか?
ビジネスを行う上で、ミスやトラブル、アクシデントというのはつきものです。だからこそ様々なことを想定し、いざという時に慌てず騒がず、先頭に立ち、冷静に対処出来るようにしておかなければなりません。
当然、そうした不足の事態にそなえて様々な予防線を張るのが当たり前ですが、そうは言っても全てのリスクを完全に排除するのは不可能でしょう。
スムーズに業務を進める為には、起こりうるリスクを想定し、うまく対処していくという考えは欠かせないということです。
まず、マネジメントできる環境を整える
以上、管理職になったときにまず注目すべき3つのマネジメントについて書いてきました。
聞けば当たり前と思われるかもしれません。しかし、多くの管理職が頭では理解していても、これらを実行に移せていないのが現状です。
やろうと思ってすぐに行動できる人は少ないですし、知識を得ても実践する場がなければすぐに忘れてしまいます。または、実践してみたのに上手くいかないという方もいるでしょう。
日々の業務に黙殺されていてはそれどころではありません。
まず、環境を整理してみることです。
私は冒頭で、”マネジメントとは、自らが率いる部署・チーム・組織を、その与えられた資源・資産等を、効率的・効果的に運用して成果を上げる、また発展させる為の手法”といいましたが、何よりはじめにマネジメントするべきは、自分や部下が生き生きと働けるように、職場環境を整えることです。