部下育成コミュニケーションとは

管理職にとって、「部下育成」は重要な役割である。反論されることは少ないでしょう。

部下育成の重要性は誰もが認識していると思います。部下が育つ事は、会社にとっても、上司にとっても、この上なく心強い事だからです。

ところが、その重要性は十二分に認識されていても、出来ているかと言えば・・・どうでしょう。あなたの職場は、きちんと部下育成が出来ていると言えますか?

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そもそも、目指すべき部下育成とは?

会社から見れば、部下育成は目的ではなく「手段」です。

会社の目的は業績を上げる事で、短期的には結果を出すことが目的と言えるでしょう。その為には有能な人材が必要です。

ともすれば、管理職の役割と言われる部下育成は、

  • 部下を一人前にすること
  • 会社にとって有能な人材にすること

ということになります。

しかし、これがあなたの考える部下育成ですか?

実際はもっと違う想いがあって部下を育てたいと思うはずです。

「自分のチームを底上げしたい」「仕事をもっと効率よく回したい」「今よりもっと良い結果を出したい」etc・・・あなたの思い描く目的達成のために、部下育成を考える。つまり、

自分を中心に、もっとより良い仕事をするために

部下育成にはOJT(On-the-Job Training)やコーチング技法を使うのが一般的ですが、これだけでは優秀な部下が育つだけで、あなたの優秀な部下は育ちません。

OJTやコーチング、マネジメント・・・。それより、もっと念頭においておくべきことがあります。それは、部下を育てようとする意思です。

OJTやコーチングなどの技法を実践することは、それ自体が「部下を育てようとする意思」だと思われるかもしれませんが、あくまで部下育成に必要な手段だと認識して実践しているだけで、表面上のものでしかありません。

何事も教科書通りにはいかないもので、部下育成に悩む管理職はこのことを軽視している場合が多いです。

  • 説明(マニュアル等を用いて説明する)
  • 見本(実際にやってみせる)
  • 実習(立ち会いのもと、やらせてみる)
  • 分担(部分的にやらせてみる)
  • 代行(一通りやらせてみる)
  • 担当(本人に任せて責任をもたせる)

上記はOJTの指導に関するポイントですが、一見なにも問題のないように見えます。

『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ』

リーダー論や教育論でよく名前があがる「山本五十六」の名言ですね。大抵、部下に教える際はこのやり方が推奨されます。ですが、現実は物覚えに個人差があります。得手不得手がある人間ですから、スっと覚える人もいれば、そうでない人もいるのです。

多くの部下を抱え、たくさんの仕事が控える上司には、一人ひとりじっくり教えることは非常に根気がいります。ついつい教え方も単調になりがちで、

「このマニュアルみながらやってみて」
「~まで出来た?そうか、頑張って。何かあれば言ってね」
「今日からこれが必要になったから、覚えて」
「どんな感じ?あぁ、ここまで出来た?OK、あとはこっちでやっとくよ」
「今日から担当任すから、頑張ってね」・・・こんな感じになりませんか?

部下は教わりながら色々気になること、気づいたこと、聞きたいことがたくさんあります。ですが上司は日々忙しなく、思った事を聞けない。または、聞いても上司の言っている意味が理解できていない。でも二度聞きはしずらい・・・。結局、試行錯誤しながら自分で少しずつ出来るようになってしまうのです。

こうなると、本来のOJTやコーチングではありません。

なんちゃってOJTやコーチング

部下育成に悩む上司の多くは、この「なんちゃって」状態に陥っています。

OJTやコーチング、マネジメントなどの技法は、1⇒10まで出来て効果が出るものです。途中で脱線させては本来の効果が期待出来ません。

これの何が問題かと言えば、結果的に教えている部下は一応、仕事を覚えます。つまりなんだかんだで育つんです。ですが、それは仕事を続ける内に自ら自然と覚えたものです。そうなると、仕事の出来る部下にはなるが、それがあなたのおかげとは思わないでしょう。

理想的な部下を育てるために

上司であるあなたの意図をよく理解してくれる。それだけではなく、あなたのビジョンとそれに至る道に深く共感してくれる。

「仕事が出来て、信頼出来る優秀な部下」は上司としてかわいくてしょうがありませんよね。

そうした部下を育てたいと思うのであれば、やはりまず、上司が「部下を育てようとする意思」をもたねばなりません。

新入社員に「業務に必要なことだから早く覚えるように」と指示したところで、それは無理強いされているのと同じことです。それは少なからず仕事上のストレスになるでしょう。

極端のように思われるかもしれませんが、仕事に必要な知識や技能であっても、「苦手だから」と手が進まなくなる人が多いのは事実です。

人は何かを「やらされた」時、強い抵抗を感じます。

『話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず』『やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず』

部下育成のコミュニケーションとは、部下の抵抗を和らげてあげること。理想は、そもそもの原因である「やらされてる感」を取り除く事です。

「やらされている感」を取り除く為には、「やることの意味」「得られる快感」「役割の認識」この3つが必要です。

やることの意味

人が行動する際に、「意味」は必要不可欠です。

「意味」が分からないままやる。これは非常にやらされてる感が強いですよね。

人は何をするにしても、常に意味を求めます。人間の行動原理は全て欲求、本能から始まるものですから、本人も抗いようがありません。

この「なぜなのか」というのは非常に大事なんです。「何をやるか」だけを指示しても、深い力は出てきません。

もちろん、上司として何かをやらせる前にそれなりの説明をしているのかもしれませんが、それが本人の「意味」となっているのかは疑問を感じるべきです。

現代の社会人は、今の自分の働きに意味を求めます。馬車馬のように働いて高給を貰えていれば良いという人は少ないでしょう。

業績が低迷する人、職場で欝になる人の中には、自分がやっている事に「意味」を失っている人も多いです。

もしかしたら、分かっていない、通じていない、納得していないのかもと思って聞いてみてください。そして「なぜやるか」ということを語ってください。自分の実体験があればそれも含めて語ってください。

語れば語るほど、それが部下に浸透していき、より深い力を発揮するでしょう。

得られる快感

そして部下が何かを成し遂げたのなら、必ずそのフィードバックをしてあげることです。

つまり、「ほめる」そして「ねぎらう」。

ほめる

教えた事に対して、それが当たり前とでもいうようにフィードバックを怠る人がいます。

なぜフィードバックが重要かというと、それがなければ自分が成し遂げたことが誰かのためになったかどうか、分からないからです。

お客様からの「ありがとう」は、モチベーションを高める大きな要因になる。というのはよく聞かれる話ですが、それから上司や同僚からのフィードバック。「よくやったな」とか「君のおかけだよ」とか。そういうものが、本当に大切なフィードバックなのです。

モチベーションを高める要因として、能力給や成果給というものはもちろん大切です。ですが、本当に部下がモチベーションを上げるきっかけとなるのは、「自分が認めてもらえた時の快感」、言わば心の栄養です。

先ほど、お客様からの「ありがとう」は、モチベーションを高める大きな要因と言いました。

お客様からの「ありがとう」これはもちろん感謝を表しているのですが、もう一つ、「あなたがいてくれてありがとう」という敬意が含まれているのです。

それは表面的なものではなく、心からの「ありがとう」を通じて敬意を受け取る。自分の成したことが人のためになっていると実感できるからです。

人は誰かに認められたと感じた時、自分の仕事に「意味」がある事を理解します。それはとても快感を伴うもので、その瞬間からまるで別人のように生き生きとする人もいます。

ねぎらう

とはいえ、成長段階の人間が、必ずしも目に見えて大きな成果を上げるとは限りません。

部下の行いを優れていると評価して称える行為は、月間ノルマを達成したとか、大きな売上を上げたとか、新規案件を取れたとか、会社に対して何かしらの貢献をしたとか、使える機会が実に限定的であり、「ほめる」という行為は、そういった条件が整った時にはじめて使える言葉です。

では、「ほめる」機会の少ない部下とはコミュニケーションが取れないのかと言うとそうではなく、そういった時には「ねぎらう」ことで、部下の行いを認識してあげることです。

「ねぎらう」これは「ほめる」のように条件を必要とはしません。

例え部下が満足のいく結果を出せなかったとしても、何か失敗をしてしまっても、「そうか、君なりにやれることはやったんだね。」と声をかけられる。

例え「ほめる」ことができなくとも「ねぎらう」ことは出来るのです。

部下の苦労を「ねぎらう」。
「共に仕事をしてくれてありがとう」という敬意を持って言葉を発する。

これが”心の栄養”となり、次の行動に必要なエネルギーとなるのです。

役割の認識

人は、「こういう人間になるんだと決めて行動すると、その通りの人間になる」という性質があります。

例えば、「課長」が最初から「課長」だったかと言えばそういう問題ではなく、「課長」になったから「課長」なんです。「課長」になったその日から「課長」として行動する。自然と周りに「課長」としての存在感が作られる。

人は、自分の役割を認識して行動することで、認識しない時よりもずっと強い能力を発揮できるということです。

よって、上司はその人に担ってもらいたい役割を、しっかりと期待して言葉や態度に表すことが重要です。

もしあなたが、これから先の部下の姿がはっきりしていなくて、誰にどういう役割を担ってもらいたいかという期待が曖昧であると、やはりそれは伝わっていかないでしょう。

「君にはこういう役割を担ってほしいんだ」というものがなければいけません。

あなたが達成しようとしているもの、目標、その先の姿を明確にして、その中でどういう役割でどのようになっているのかを、その一人ひとりの役割を「彼にはこういう役割を担ってほしいなぁ」「彼女にはこういうことをやってもらいたいなぁ」と具体的に想像するのです。

そしてしっかりと気持ちを込めて伝えましょう。

あなたが思い描く部下一人ひとりの役割、それもまた、部下にとって価値のある意味であり自分が仕事をする為の意義でもあるのです。

最後に

あなたの部下は、作業をするためにいるのではない。仕事をやるためにいるのです。

では、作業と仕事の境界線は何か?

そう、強制的にやらされているのか、自発的にやるのかです。

部下育成に必要な土壌は「手応え」を感じるものであること。その土壌作りは、上司を中心にした部下とのコミュニケーションで成り立っています。

「手応え」を感じれる仕事であれば、もっと大きな「手応え」を感じたくなるのが人の性質で、自分を前へ前へと進めてくれるその土壌を、部下は大切に思い、より良くしようと考え、その中心にいるあなたに敬意を払うでしょう。

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