中間管理職、特に自身やチームの業績目標を担うプレイングマネジャーには多忙な方が多い。
そういった方からよく聞く話が、部下と話す時間がない。というもの。
コミュニケーションの重要性を理解していても、忙しさからつい後回しにしてしまう。気づけば仕事のミスやトラブルが起きてしまい、対応でまた業務が増えて…の悪循環。
なるほど、それ私も経験あります。
職場内、特に自分の部下のこと、チームのことはよく知っておきたい。しかし情報収集にはコミュニケーションの場が必要だと、そのための時間を作らなければならないと・・・
ここで考えて頂きたいことがあります。それは、部下にはこちらから接していかなければコミュニケーションが成り立たないのか?ということ。
情報は集めるだけでなく、集まるもの
部下は、上司と話をしたいものです。話をしたい、聞きたい、相談したい。
なので、本来は自然と様々な情報がもたらされるはずなのです。なぜなら、皆が今の職場環境をもっと良くしたいと思っているから。
仕事の内容、人間関係問わず、部下だって自分の働く環境を今よりもっと良くしたいと、マネジメント的な立場ではなく、もっと個人的な理由で考えます。だから皆、上司である”あなた”に話したいことはたくさんあるのです。
「業務内容で不安があるから判断してもらいたい」
「ここを変えればもっと仕事がしやすくなるんだけどなぁ・・・」
「あの人があの人を嫌っている、何か空気が悪いなぁ」
「先輩に怒られてばかりで嫌になる、どうしたらいいんだろう」etc・・・
特に、個人的な問題、職場の問題というものは、面談やミーティングのような構えた場ではなく、日常会話の中でこそ本音が引き出されることが多いです。
何気ない会話の中で「・・・実は、」みたいな。他に人がいない場所で「実は・・・」みたいな。
そうなると重要になるのが、部下に話しかけることではなく、「話しやすい上司なのか否か」ということです。
発する言葉の影響力を認識する
上司の発する一言は時に、部下にとっては極めて重要です。
「そうか、しかたがない次は頑張ろう」と励まさなければいけない場面で、「何をやっているんだ!」と、後になって言いすぎたかなぁという経験がありませんか?私はあります。
いきなり頭ごなしに思いのまま発言してしまうのは控え、少し想像してみてください。部下が何かを起こした時、もし自分だったらどう接して欲しいか・・・。
また、「そんなの無理だ」「何言ってんだ出来るわけないだろ」と、たとえばこんな具合に頭から否定してしまう人に対して、部下はいったいどんな気持ちになるでしょう。発する言葉を考える、コミュニケーションを考えてみてください。
中間管理職ともなれば、上の事情、下の仕事内容、それに通じる情報をある程度把握出来ています。そうすると、何か相談をされた際、どうしても頭の中で自分の最適解がすぐにパッと出てきてしまうものです。「~がこれで~何ですよね、でも~だと・・・」みたいな話をされても、頭の中ですぐ「いや、これこうすればいいじゃん」と思ってしまうことがありませんか?
思ったことが相手の意見を上塗りする場合、きちんと理由の説明がなされれば納得のしようもありますが、いきなり「そうじゃない、こうしてくれ」的な言い方に終始して理由が説明出来ていなかったり、または、そもそも相手の話を遮って「いや、こうしてくれ」みたいな言い方をしてしまうと、言った本人に悪気はなくとも、結果的には非常によろしくありません。
そんな回りくどいことはしない!という方もいます。
上司は嫌われて当然、部下に厳しく徹底させる。自分という威圧感で統一するやり方。
一見、こうしたやり方は不要な反抗を防げるし、全体を動かしやすく見えるかもしれません。しかし、これは非常に危険なことだと思います。
部下が真実を語らなくなる。恐れから誰も本当のことを言ってくれなくなるのです。
そして、指示待ち部下が増えます。
自ら考え行動するのではなく、成長を妨げる原因になるでしょう。上司の仕事は減らず、むしろ増えてしまう。結局困るのは自分ということになります。
管理職の盲目は職場環境に直結する
否定的な態度・言葉の多い人のもとには、周囲からの情報が遮断されてしまいます。
「あの人は言っても無駄だから」「まともに聞いてもらえないだろうしなぁ」「言いづらいなぁ」「聞きづらいなぁ」・・・こういった状態になってしまうと、いつも対応が後手に回ってしまいます。問題解決に走る上司はさらに多忙となり、問題を起こした部下は萎縮してしまう。そしてどんどん負のスパイラルに陥るでしょう。
業務内容に関わらず、人事的な問題も起きるのが必然で、社員が急に退職したいと言ってきた、職場内で派閥が出来てギスギスしている、ハラスメント問題が起きるなどなど、多くは中立的立場にある管理職が事前に情報を得られていれば対応のしようがあります。
こうした事のないように、普段からなるべく様々な情報を得ることは重要でしょう。
部下が集まる上司になるために
簡潔に、何事も素直に「はい」「なるほど」「そうなのか」と受け入れる姿勢が肝心です。
誰しも完璧ではありません。自分の知らない事や、経験した事のないような事がたくさんあります。それを、自分の過去の経験や知識に照らし合わせて頭ごなしに否定しないことです。
素直に話を聞いてくれる上司、否定的な上司、どちらの周囲に人が集まるのか、考えるまでもありませんよね。
人が集まるという事は、情報が集まるという事です。素直に話を聞ける人ほど情報通であり、その情報を武器に多面的な判断が可能になるでしょう。
今は年下上司、年上部下が当然の世の中です。だからなのか、部下が出来たら威厳を持たねばならないと身構える人がいますが、まったくその必要はありません。
自らの固定概念にとらわれない、こだわらないことが何より大切です。
あなたには既に一定の能力が備わっていて、会社から様々な面を評価された結果、今の管理職となっているのです。つまり力のある者で、皆がそれを認めています。
力のある者こそ”素直さ”が大切で、成功への近道です。自分よりも力の弱い部下の声・意見こそ素直に耳を傾けるようにしましょう。
わざわざ部下と膝を付け合わせて話す場を作らなくとも、全員の時間を無理に合わせてミーティングを開かなくとも、部下の方から合間を縫って話しかけてくれるのです。