管理職に必要なコミュニケーション能力とは

会社・部署・チームetc・・・組織とは、リーダーが掲げた目的や目標に向かって、効率的に人と作業を組み合わせたものである。そして、その中で「人」は中心であり、ともするならば、強い組織の基盤は「人」と「人」との繋がりと言えるだろう。つまり、社員同士が固い信頼関係で結ばれていることにある。

と、こんな事を昔なにかの本で読んだ記憶があるのですが、タイトルが出てきません。でも言葉は印象に残っていたので覚えています。

ようは、日々のコミュニケーションこそ信頼関係の基礎であり、組織にとって血液のようなものだと。コミュニケーションがうまくとれないと全体の動きが悪くなったり滞ってしまう、逆にコミュニケーションが円滑で隅々まで行き渡っているような組織は”必要なときに必要な指示が正確に届いて”いて、実に生き生きとしているという話です。

「分かっとるがな」

そう、誰だってコミュニケーションの大切さなんて言われなくとも分かってます。しかし、悩みが多いことも事実ですよね。

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成果型が生み出す無関心

成果型人事制度は、公平性を保つために今では当たり前に取り入れられているものですが、これにより、今の管理職は短期的な仕事量が増し、目先の膨大な業務処理や業績など、様々なプレッシャーにさらされています。

管理職の中には、仕事が忙しくて心理的にも時間的にも、部下一人一人を指導する余裕がないという方もいるでしょう。それはまだ良い方で、中には部下への関心が低く、「仕事をこなして、あとは問題を起こさなければいい」と部下育成を重要視していない方もいます。

でも、それってつらいでしょう。

職場における「人の問題」というものは、いつも頭の中にあるものです。

様々な方とお会いして、よく聞かれるのが、「みんなついてきてくれない」業績や仕事に問題はない、なんとかやってる、けど”空回り”しているなと感じることがある。
または、「またなんかやってる、しょうがないな」そう思われているのが分かってツライ。

非常につらく悲しい声が聞こえます。

「どうして俺のやりたいことが伝わらないんだろう、どうして俺のやりたいことを分かってくれないんだろう・・・」

これでは毎日つまらないですよね。
仕事を続ける以上、人生の3分の1以上は仕事なんです。

例え成績が良くても、業績が上がっても、上司に気に入られていても、つまらない。

さらには、「もうあきらめている」と言う方もいます。
「もうその辺は考えないようにしている。成果さえ上がればそれで良い」

なるほど、あきらめるというより考えないようにされてるわけですね・・・でも、聞いてみれば実のところはあきらめていない。毎日「いいんだ、しょうがないんだ」と自分に言い聞かせている。これでは感情的につらい日々に変わりありません。

そういうものです。本当に”あきらめている人”は、経験上稀です。本当に稀です。

じゃあ、つくりましょう。強いチームを

人の心には、カチャンとスイッチが入る瞬間がある。

「やる気スイッチ」とか「行動スイッチ」とか、そういったものではなく、もっと根源的な。

そのスイッチが入ると、その人の全て、細部まで変貌する。その人の資質、眠っている才能、秘められた能力、まったく別人のように変わる。

もはやスイッチではなくブレーカーのようなものが、人の心には、あります。

それが集団になったとき、そのチームは不可能を可能にする最高のチームとなる。

まあ、だいぶ大げさに言いましたが、人によっては奇跡のように感じる人もいるほど見違える、ということです。

「松下幸之助」「本田宗一郎」「井深大」「永野重雄」「安藤百福」「ウォーレンバフェット」「ピータードラッカー」「スティーブジョブス」etc・・・経営の偉人達は例外なくこの心のスイッチを入れる術をもっているといわれます。

  • 自分たちの仕事に使命感をもつようになる
  • メンバー同士仲が良い
  • 上司が尊敬され好かれる
  • 適度な緊張感をもち、馴れ合いがなくなる
  • 自分から率先して動くようになる
  • 目の前の問題から逃げず解決に走る
  • 仕事に対する責任感や意識が強くなる
  • 何より仕事を楽しめる

上司としては理想的ですね。

部下育成はこういうチームをいかに育てていくか、ということです。そのポイントとなるのが”心のスイッチ”をどうやったら入れれるか?ということにあり、コミュニケーションはその為に必要な能力なのです。

マネジメント論は抜き!

今まで、組織作り、マネジメントに関する様々な本やレポートを読んできました。その中で私が感じたことは、総じてその多くは「どうやって人を動かすか」「人を自分の思うように操るか」的な思考が強い傾向にあるな、と。

それが正しいか誤りかという話ではありません。私が言いたいのは、「これでは心のスイッチを入れられない」と言うことです。

以前、とある企業の方とマーケティングの講演会に出席することになり、講演会後の食事の席で、こんな話題になりました。

「いやー勉強になりましたね。あとは、うちの会社でこれをどうやってやっていくか・・・」

やはり『どうやって社員やスタッフにやらせるか』という発想になっていくのです。

そもそも人が思い通りに動くものなのか?方向性が違うんじゃないか?という思いがあります。”心のスイッチ”を入れて強いチームをつくることは、決して思い通りに動かすということではありません。

もちろん、方法として「言うことをきかせる手段」というか、そういう言葉のテクニックはあります。ですが私が言いたいのはそういうことではありません。

幻想的なものでもなく、事実「え、この人がやったの?」という見違えるような変化を遂げてくれる。そんな実例を私はたくさん見てきましたし、体験してきました。

これは絵空事ではなく、実際あなたの身の回りでも起こり得ることです。

人の感情を知る

人間には”理性”で割り切れない、自分の意思ではコントロールが難しい”感情”があります。

人間の本性は、感情70%、理性が30%と言われており、圧倒的に感情が強いわけですね。

この本性における感情の比率は、どちらが優先されるのか?ということではなく、『理性に感情が覆いかぶさるのが普通』というイメージです。

言ってる事は分かるけど・・・
悪いのは自分だってのは分かるけど・・・
やらなきゃいけないのは分かるけど・・・

誰でも、幾度となく経験されているはずです。
「やるやらない」の行動は別にして、このように”分かっちゃいるけど~”と理性の上に感情が覆いかぶさってくるんです。

このことを理解してください。「やるになる」「そのになる」「概を示す」「意があがる」などなど・・・気持ち、心の部分が、人間行動の活力を大きく左右するということです。

強いチームをつくるコミュニケーション

その1.『ねぎらう』

管理職は”ほめ方”また”しかり方”が大切だとセミナーや研修、書籍などでよく言われますが、私が最も意識するべきと考えるのは『ねぎらう』です。

『ねぎらう』とは、相手を認め、感謝することです。

例えば、誰よりも顧客の元へ足を運び、眠い目を擦りながら資料を集め、頭痛がするくらい考えて考えて、そして、多くの顧客から支持を得られた結果として、成績トップになった営業マンがいたとします。

彼に上司がすることは?

  1. 定例会で表彰「彼を見習い、皆も負けないように頑張るんだぞ!」拍手パチパチ
  2. 彼の肩をガッとつかんで、真剣な眼差しで一言、「〇〇!よくやった!!」

この場合、1が『ほめる』2が『ねぎらう』ということになります。

一見どちらも同じ『ほめる』ことのように見えますが、『ねぎらう』ということは、相手に敬意を払うことです。つまり、「大変だったろう、苦しかったろう、その努力と頑張りを、私は心から尊敬するよ。君がいてくれて本当によかった!ありがとう!!」という心が込められているんですね。そこから出てくる言葉が『ねぎらう』なんです。

こういう話をすると、「では、とにかくほめたほうがよいのでしょうか?」という質問がよくあります。ほめてばかりもいられない、時には叱るべき時もある・・・そうですね、ほめるばかりではいけません。

ここで是非ともお話しておきたいのですが、そもそも『ねぎらう』為に必要な条件というものは無いのです。

例えば、彼が営業成績未達だったとしても、彼の頑張りが評価できるものであれば、「そうか、君なりに努力したのだな」と言えるでしょう。

『ほめる・しかる』は条件付きの行為であって、ある条件が整った時に初めて『ほめる・しかる』ことが出来る。したがって、上記のように営業成績が未達なのに『ほめる』ことは出来ない。しかし、『ねぎらう』ことは出来る。

例え営業成績が未達だったとしても、「頑張ったな」と言えるんです。

人には、「承認欲求」という、言わば”他人に認められたい願望”があります。

彼の努力は、もしかすると他にやりようがあったと感じることもあるかもしれません。しかし、彼なりの努力は彼にしか苦労が分からないのです。それは自分でも分かっていることで、でも誰かに分かってほしい・・・なんて気持ちの時に、上司が心を込めて『ねぎらう』と、なんとも深く彼の心に響くんです。

その2.『意味を与える』

二つ目は『意味』です。

人は、意味のないことをしたくないし、やりたくない。

多くのリーダーやマネージャーが忘れていることがあります。

それは、仕事をやる上で、”何をやるか”という指示を出すのに、”なぜやるか”ということを言わないということです。

例えば、業務上の指示を出す際に、これをやれ、あれをやれ、このデータをまとめて資料を作れ、このメールを何時までに送れ、今月までに何件の新規を取れetc・・・なぜ??

この”なぜやるか”ということが、部下にとって非常に大事な情報なんです。根源的に、力を発動するために必要な条件なんです。

“何をやるか”だけ指示をしても、人の深いところは動かない。しかし、”なぜやるか”を語れば語るほど、それが浸透していき、”何をやるか”は自分で考えつくのです。

“なぜやるか”を言わなければ『意味』が分からないままやる。これでは単純に余計な仕事が増えるだけで、部下にとって不快なことなんです。

『意味』の分からない仕事を続けると、人は自分の『意味』を失う。こうなると人は強いストレスにさらされる。

職場において強いストレスにさらされた人がどうなるか?これは、いわゆるモチベーションの低下につながります。

だからこそ、自分のやっていることに『意味』を感じながら仕事に取り組めているか?これが重要になるわけです。

基本的に、職場には3通りの人がいます。

  1. 自ら気づき、そして行動に移す人
  2. 気づきはあるが、なかなか行動に移せない人
  3. 気づきもなく、行動もない人

私の経験上、コミュニケーションに悩む方の職場の場合、半数以上が2の「気づきはあるが、なかなか行動に移せない人」、1と3は残りの大体半々です。10人部下がいれば、2が6人、1と3が2人ずつといった感じですね。

「強いチームをつくる」、私とあなたが目指すのは、「部下一人ひとりをパーフェクトヒューマンにする」ということではありません。チーム全体を底上げしようとしているのです

チーム全体のモチベーションが高く維持出来ていれば、そのチームは高いレベルにある。そういうチームの状態つくりを目指しているということです。

以前この話をしていて、こういうご意見をいただきました。

「じゃあ1の人だけ集めて、他は外せばいい」

人事的な難易度はありますが、まぁ、それはごもっともです。

しかし、そのチームつくりの中に『ねぎらい』も『意味』もなかったら、きっとそのチームのモチベーションはどんどん下がるでしょう。チーム全体のレベルがどんどん下がる。

そうなると、堂々巡りです。

逆に、『ねぎらい』があり『意味』もある職場であれば、チーム全体のレベルはどんどん上がっていく。平均的にレベルの高いチームは、どんなチームでもできることなのです

知識や経験の差というものは、あまり関係ありません。モチベーションが高く維持出来れば仕事の効率も上がりますから、結果的に短期間でその差は埋まります。

あなたのチームにそれをもたらすのは『ねぎらい』であり、『意味』を与えることです。

その3.『その人に対する期待を明確にする』

コミュニケーションというと、「話す」「聞く」「書く」「読む」といった言葉による言語コミュニケーションのことが頭に浮かぶと思います。

しかし、言語コミュニケーションだけでは完全ではなく、むしろそれを補足する非言語コミュニケーションこそ、極めて重要なのです。

非言語コミュニケーションとは、言葉にならないが意味を伝えることの多い発生要素、身振り手振り、顔の表情、視線、接近の度合いや抑揚のつけ方など、そういったものです。

レイ・バードウィステルによると、二者間の対話では、言語によって伝わるものは、全体の35%にすぎず、残りの65%は、非言語、つまり言葉以外の手段によって伝えられる、としています。

ということは、もしかするとあなたが、「こいつは使えない奴だ」と思い込んでいると、そう言ってしまっている可能性があるわけです。つまり、「君には期待しているよ」と言葉では、すなわち35%の言語領域では言っているけれど、65%の非言語領域では「お前は使えない」と言っているわけです。

つまりは、ばればれだと。

よく言いますよね。自分が嫌いな人は、相手も嫌いだと。他人から見ても不自然に感じるくらいぎこちない人もいますが、それでなくとも、非言語領域で感覚的にぎこちなく感じる。

言葉では何と言っても、顔に書いてある。だから非言語コミュニケーションを通じて相手にもそれはしっかり伝わる。

社員だって同じです。

たとえば、異なる二人の上司が、同一のシナリオを部下に伝達しようとしても、上司の話し方、動作などによって受け手である部下への伝わり方は違ってくる。男女、年齢、目つき、身なり、声のトーン、スキンシップなどによっても伝わり方は違ってきます。

これは私が今まで幾度となく実践してきましたし、経験してきたことなので、まぎれもない事実です。

「任せたぞ」と気軽に声をかけた場合と、相手の手を強く握りしめ、しっかり目を見つめて「任せたぞ」と強い口調で声をかけた場合とでは、どちらが相手に対してインパクトを与えるでしょうか。明らかに後者ですよね。

自分はそんな柄じゃないとか言わず、それこそギャップです。時に応じて自身も役者になり演出することも必要なのです。

だから、あなたは期待すればいいのです。

部下の役割を、彼ら一人ひとりの役割を、思いっきり期待すればいいのです。そして、そのように接すればいいのです。

もしあなたが、自分たちのこれから先を明確にイメージ出来ていなくて、個々の役割も曖昧なままなのでしたら、やはりそれらはいくら期待しても伝わらないでしょう。

「君にはこういう役割を担ってほしいんだ」というものがなければいけません。

チームというものは個々に様々な役割があります。

彼にはチームを引っ張ってほしい、彼女にはチームのムードメーカーでいてほしいとか、もちろん業務遂行上の役割、彼は電話応対、彼女はデータ集計etc・・・。

その一人ひとりに役割を期待するのは誰か。ほかでもない「あなた」です。

チームをつくっていこうとする側の人間が、一人ひとりに対する役割を明確にする。

それはどういう期待かというと、「こういう役割を演じてほしい」というものです。

そしてそれを、言語と非言語の両方で表すことが大切です。態度にしなければ、決して伝わらないからです。

だから、期待をしていただきたいんです。しっかりと、強い期待を。

一人ひとりに、あなたが達成したいもの、その先の姿を明確にして、その中でどういう役割でどのようになってほしいかを想像しながら、「あぁ、彼にはこういう役割を担ってもらいたいなぁ」「彼女にはこういうことをやってもらいたいな」と期待するのです。

そして言いましょう。
「君だからこそ、やってほしいんだ」と。

最後に付け加えます。
あなたの期待する一人ひとりの役割、それもまた、部下に、とても大切な『意味』を与えることなのです。

最後に、

というわけで、長々とお付き合い頂きまして、ありがとうございます。

「強いチーム」をつくる3つの要素、これが管理職に必要なコミュニケーション能力だという話をしてきました。

ここでお伝えしておきたい事は、私はなにも方法論を考え、そしてまとめようとこの記事を書いたわけではありません。

私自らの体験は様々ありますので、それはまた別の機会に記事にしてみようと思いますが、良いことと同じくらい、つらい体験もあります。今現在でも、人の問題が私のまわりからまったく無くなったというわけではありません。

しかし事実、私のチーム、部署が、私の周りが、まるで人が入れ替わったかのように劇的に変わる瞬間を体験し、そして見てきたのです。その事実は揺るぎません。

その事実を、可能な限り解き明かし、こうしてあなたと共有したいのです。

最後に、お伝えしておきたいことがあります。

マネジメントの手法は様々確立されています。それらは、あなたに様々な学びや気づきを与えてくれるでしょう。

しかし、根本的な考えとして、「人」は「機械」のようにマニュアル通り管理できるものではないということを覚えておいてください。

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